火山活動に河川の浸食など、平地の少ない鹿児島では多様な自然地形を見る事が出来ます。その中でもとりわけ市街地から比較的近い場所に多いのが滝です。鹿児島県内では有名な物に加治木の龍門滝や南大隅の雄川の滝などがありますが、それ以外にも様々な場所に小規模な物から大規模な物まで点在しています。
今回ご紹介するのは、宮崎県との県境に近い場所に位置する桐原の滝です。
桐原の滝の概要
- 所在地:鹿児島県曽於市 財部町南俣(溝ノ口川沿い)
- 落差:12m
- 現況:公園として一般開放
- 備考:駐車場は近くの駐車スペースと少し離れた大川原峡キャンプ場にあります
桐原の滝の風景
桐原の滝は、大川原渓谷の一部に位置している中規模な滝です。溝ノ口川の働きによって加久藤火砕流由来の溶結凝灰岩が削られ滝となったのが始まり。この辺りには同じメカニズムで生まれた形成物が多く、宮崎県側にある有名な関之尾の滝もその一つです。
現在は観光地として公開されているほか、用水路の水源としても利用されています。

桐原の滝一帯は公園として整備されており、滝つぼの付近には東屋も設けられています。東屋からは豪快な滝を前にすることが可能。
なお、カップルで訪れる方も多いのか、筆者が写真撮影時一人で訪れているとそこはかとない心細さを受けました……。もちろん一人で訪れてゆっくり満喫するにも良い場所と感じましたヨ。

桐原の滝の滝つぼ付近から、崖に沿う形で古そうな取水路が設けられているのを発見。
ところどころで水が溢れているものの現役の物のようで、実際にこの水路は下流方面へと長く並走しています。具体的にいつ頃設けられたのかは明確ではありません。
見るに滝よりも上流から水を持ってきているようなのですが、どのような構造なのかは近付けず不明。滝の上を見れればそこに取水口があるのかもしれません。
このような水路は珍しくなく、鹿児島県内で世界遺産にも指定された関吉の疎水溝も同様滝付近に取水堰を設け仙巌園まで水を引いたものです。

園内には、東屋の一段下を通り滝つぼ付近へと進む遊歩道もあります。
ただし最近投稿されたレビューを見ると遊歩道の入り口にロープが張ってあったとのことで、現在も通行できるのかは不明です(写真は2023年撮影)。

園内には桐原の滝の解説看板もありました。ジオサイトNo41とある通り、この桐原の滝は地質的な観測が出来る場所としてジオサイトに登録されています。
残念ながら解説看板は2023年時点で汚れが目立ち読むのが大変な状態ですが……全体的に、規模の割にあまり管理の手は行き届いていないのかな、といった印象でした。

トイレ付近には小さな人工池と木橋が整備されています。
いかにも公園といった風景を醸成。ちなみに先ほど滝から分岐していた水路はトイレの裏付近を暗渠として流れているようでした。

園内には清流橋という小さな人道橋も架けられています。
架けられたのは平成18年(2006年)。対岸の遊歩道と結ぶ役割があったようですが、2023年時点で既に対岸の遊歩道はほぼ廃道となっており事実上の行き止まりの橋状態でした。
現在はもしかしたらちゃんと対岸の遊歩道が整備され直されているかもしれません。ちなみに滝方面への遊歩道は滝つぼ付近で洗い越しとなって川を渡り、先ほどの東屋下の遊歩道に接続しています。

なお、桐原の滝の上部については川に並行している市道上から僅かに見ることが出来ます。
安全上の理由から河辺に降りる事は出来ませんが、滝の段差の下に先ほどの清流橋も見えます。

最後に滝とは関係ありませんが、滝付近の市道脇にはイワタバコの群生地もありました。
タバコに似た見た目の葉を持ち美しい花を咲かせる事が特徴で、非常に繁殖力が弱く群生の絶滅のリスクを常に抱えた貴重な植物です。
おわりに
今回は当サイトでは初めての曽於市の情報を取り上げました。曽於市といえば意外とグロテスクな見た目をしたゆるキャラのそお星人ですが、宮崎方面へと旅行に行く際毎回道の駅すえよしで等身大の彼を目にします。彼の口はソーセージの切込みの一つで、それが三つも並んでいる……。彼が目の前に現れたら……考えるだけでも恐ろしく、その際は今回ご紹介した桐原の滝に投げ込み自衛いただければと思います。

桐原の滝も大川原渓谷の一部なんだが、大川原渓谷付近には他にも悠久の森や自然遊歩道など魅力がたくさんあるぜ!JR駅からも多少歩くけど行けない事はないから、都会の喧騒に疲れたらぜひ行ってほしい場所の一つだ